BIOS、Windowsの画面キャプチャおよびそのOCR

[an error occurred while processing this directive]

初めに

画面読み上げソフトが利用できない場面として、BIOS設定*[1]、OSのインストール、その他にWindows等でのセーフモード等が考えられる。 OSのインストールに関しては、直接画面読み上げソフトを利用しなくても、UNIX系OSでは一般的に知られている方法として、シリアルコンソール経由でのインストールが 存在する。 このシリアルコンソール経由での方法はほぼ全てのPC-UNIX系のLinux・BSD系のOSでは可能である。 また、Microsoft系のOSのWindowsでも、Windows 2000/XP以後からは、自動インストール(無人インストール)が可能になり、 画面読み上げソフトが利用できなくても視覚障害者PCユーザでも自力でWindows系のインストールは可能には成ってきた。 上に書いた事は、このWebsiteの トップページ からたどってご覧頂けると幸いである。

さて、このページではBIOSおよびWindowsのインストール画面等を直接キャプチャーし、その画像結果に対して、OCRを 通し、テキスト変換する事によって、視覚障害者が画面上方を取得する実験の方法とその結果を 書いてみたいと思う。 今回試みた方法は、画面から直接情報を取得するので、一般的なPCの利用とほぼ同じ環境となる。 と言うことでスクリーンリーダが苦手とする場合でも、この方法を併用すればどうにかなるのではと言う期待がある。 無人インストール等の手段があるとしても、それだけでは大変な事も出てくる可能性もあるし、他の手段が有るのは心強い。 もしかして、スクリーンリーダで利用が困難なバーチャルPCとかでも応用が可能ではと密かな期待はあるのだが*[2]。

VGA2USBの紹介

この実験では 2種類の方法で画面をキャプチャーしてみた。 一つは VGA2USB と言う者を使った方法と、もう一つはダウンスキャンコンバータを使った方法である。 結論から書くと、VGA2USBを利用した方が画像も鮮明に取れるのでOCRの成績ももちろん良い結果となる。 だが、VGA2USBは39800円と言う値段である。それに対して、ダウンスキャンコンバータを利用する場合は、たぶん10000円ぐらいですむと思う。 ダウンスキャンコンバータを利用すれば、BIOS等の英語のOCRではそれなりに使えると思う。 ダウンスキャンコンバータを利用する1例は、 ここを 読んで頂きたい。 と言うことで、このページではVGA2USBを利用した方法を書いて行くが、ダウンスキャンコンバータを利用する場合でも、ほとんどこのページの内容と同じであるので、まずはこのページを最初に読んで頂きたい。

さて、話をVGA2USBに戻す。 これは、煙草の箱ほどの大きさの装置で、接続方法は、PC上のマザーボードやビデオボードにある画面のケーブルを繋ぐ端子に、この機器を繋ぎ、そのターゲットPCの画面を取得し、 その結果を他の端末のPCのUSBに出力して専用ソフトでキャプチャすると言う者である。つまり
画面出力を取りたいターゲットPC → VGA2USB → 端末PC
と言う接続になる。 特に電源スイッチ等はなくて、繋げば良いだけである。

端末PC上で、VGA2USBの専用ソフトを利用して画像データを取得する。 この専用ソフトは、単純なALTメニューで利用でき、スクリーンリーダで全く問題なく利用できた。

BIOS画面の取得

具体的には次のようにBIOS画面を取得した。 まずターゲットPCのDELETEキーなどを押して、BIOS画面を出力させておく。 次に、上のようにVGA2USBを接続した状態で、端末PC上で専用ソフトを起動させる。 すると専用ソフトの起動画面でターゲットPCのBIOS画面が表示されている。 それを、ALTメニューのファイルメニューにセーブと言う者があるので、適当なファイル名を入力して保存できる。 *.bmpで保存するのが良いだろう。

次に取得した画像データをOCRで認識させる。 ここでは読みとり革命v13.0のお試し版を利用した*[3]。 お試し版は ここからダウンロードする。 使える期間は10日である。 ここで注意しなければならないことは、BIOS表示は英語なので、OCRの設定では必ず英語モードで*[4]実行すること。 読みとり革命ではALTメニューを開くと、領域と言うメニューがある。その中に日本語・英語と言語が選択できるようになっており、BIOSの場合は英語にチェックを入れる。 もう一つ大切なことは、色の反転が必要となる。以下にこの件に関して お手伝い頂いたKサンのコメントである。

BIOSにしろ、インストールの初期画面にし ろ、文字が反転しています。AwardのBIOS画面なら、青地に白の文字で す。

OCRは基本的に、紙に書いた文字をスキャナーで読むように設計され ているでしょう。だから、白背景に黒文字が基本で、その逆の、黒背景 に白文字のデータを与えた場合、内部の前処理として、白黒反転処理を 入れるだろうと想像していました。

しかし、読取革命の場合、青背景に白文字というデータに対しては、 そういう前処理がなされないようです。そのため、そのままだと文字を 認識できず、Tさんが書いておられるように、まったくの空白になっ てしまうようです。  というわけで、認識をさせるためには、画像を反転させておく必要が あります。メニュー「画像」→「色の反転」です。この処理を行うこと で、青背景に白文字の画像は、黄色の背景に黒の文字になります。これ で読取革命は、良好な結果を出しました*[5]。

bios1.lzh ここに私のターゲットPCのBIOSの最初の画面の 画像ファイルと、読みとり革命でのスキャン後の結果ファイルをLZH形式でアップした。 見て頂くとお分かりの通り、かなり正確にテキスト変換ができており実用に十分耐えられると思われる。 もう一つ、 bios2.lzh これがBIOSの一つのサブメニューの結果である。 これも実用レベルのOCR結果だと思う。

さて、上ではBIOS画面をOCRでただスキャンしただけなので当たり前だが、画面がテキストだけになっているだけで、 これでは現在メニューのどの項目にフォーカスが当たっているか分からない。 しかし、このフォーカスがどこに当たっているかなんとか分かる方法がある。 簡単に言うと、画像編集ソフトを利用して、BIOSの画像ファイル(今の場合はBIOS1.BMP)に 色の入れ替えと言う下準備を施した後で上と同じ方法でスキャンを実行する。すると、 結構うまいぐあいにフォーカス部分だけが スキャンされる。 具体的にはつぎのようなことをした。まず画像編集ソフトであるIrfanViewを下のURLからダウンロードする。英語版でも日本語版でもどちらでも良いが、今回は日本語版で説明する。 IrfanView(英語) IrfanView(英語) IrfanViewを起動してBIOS1.BMPを開く。 次に メニュー → 画像 → 色の反転を開く。 そして、最初のもの RGB > RBG を実行して画像を保存する。 そしてこの結果をOCRでスキャンするのだ。 またここからKサンの説明を引用させて頂く。

BIOS画面は、青背景に白文字(実際は淡い黄色です)が基本ですが、 フォーカスのあるところだけ、ハイライト表示になります。「リバー ス」とはちょっと違っていて、その部分だけ、赤の背景に白文字で描画 されます。  で、色の入れ替えで、最初の項目をやったということでした。  最初の項目はRGBからRBGへの変換です。つまりR(赤)はそのまま。緑 (G)を青(B)にし、青(B)を緑(G)に変えます。  その結果、赤背景に白文字のハイライト部分は変化しませんが、他の 部分では背景が緑になり、文字はくすんだピンク色になります。目では 充分に読めますが、しかしOCRにとっては、コントラストが低くすぎ て、それで、認識しなくなるのでしょう。  つまりフォーカスのあるハイライト部分を知りたければ、AWARDの BIOSについては、このRGB→RBG変換をやればよさそうですね。

と言うことである。 ところで、上のフォーカス部分だけをスキャンする方法では、読みとり革命ではうまく行かなかった。 どう言うことかと言うと、読みとり革命の認識が良く、RGB > RBGで変換してフォーカス以外のところのコントラストを低くしてもなにごとも無かったように全て認識してしまうのだ。 そこで視覚障害者OCRとして発売されているMyReader5のお試し版で試すと よい感じにフォーカス部分だけしか認識しなくなる。 MyReader5 のお試し版をDOWNLOADしてまずは最初に試して頂きたい。使えるのは30日間。 読みとり革命でのフォーカス部分だけの認識方法は後で書きたいと思う。

また、視覚障害者には馴染みが少ないBIOSの基本操作をKさんが書いて下さっているので これも参考にしてほしい。

Windowsのセーフモードの取得

次にWindows XPのセーフモードの最初の画面を取得してみた。 XPセーフモードの最初のメニューは、黒背景に白文字の単純な画面であるので これは素直に取得できた。 方法も単純で、読みとり革命の設定は、「領域」のメニューの中を「日本語として認識」にチェックを入れ、 メニュー「画像」→「色の反転」(白地に黒文字にする)をおこない認識した。 ここから DOWNLOADして見ていただきたい。 ご覧のようにきれいに認識された。

Windows7ベータのインストール画面の取得

先日配付が有ったWindows7ベータのインストール画面を 取得しても実行してみた。 結論から書くとこれがいちばん成績が悪かった。 OCRの結果は、今回の場合は説明の都合上下に直接掲載した。 VGA2USBで取得した画像データは ここから DOWNLOADが可能である。 この件に関して、Kさんが再び適切な説明をして下さっているので引用させていただいた。

Windows7のインストール画面をOCRし てみました。 これは難しいです。というか、今後、こうしたことのノウハウを蓄積 していく必要があるように感じました。

現時点での結論をまず書きますが、使えるか使えないかギリギリ、と いうレベルです。  まず概略と問題点を述べます。

元画像はやはり72dpiで、800*600ピクセルで作成されていました。 ブルーを基調にした背景画像を使っているのですが、問題なのは画面 の上のほうに、強烈な光を放射状に放つ太陽が描かれていることです。 この画面づくりは、ロービジョンの人にとっても、読みにくいのじゃな いかと想像します。背景の明るさが一定しない上、太陽光線がOCR認識 の邪魔をしています。  そしてもうひとつやりにくいのは…、あ、その前に、説明のためこの 画面のレイアウトを書きます。

-------- レイアウトはじまり---------------
インストールする言語(E) コンボボックスで日本語
時刻と通貨の形式(T) コンボボックスで日本語(日本)
キーボードまたは入力方式(K) コンボボックスでMicrosoft IME
キーボードの種類(Y) コンボボックスで日本語キーボード(106/109
キー)
 言語とその他の項目を入力してから「次へ」をクリックしてくださ い。
Copyright@ 2008 Microsoft Coporation All rigts reserved.
「次へ」ボタン
-------- レイアウトおわり---------------

上のような形でOCRできればいいわけです。 コンボボックスは通常のコンボボックス。つまり白地に黒文字が基本 です。でも、そのコンボックスにフォーカスがあたっているときは、ハ イライト表示になり、濃紺の背景色に白文字に変化します。 送ってもらった画像では、一番上の、インストールする言語のコンボ ボックスにフォーカスがあり、そのコンボボックスだけ、濃紺の背景に 白の文字になっていました。 ラベルの部分、「インストールする言語」とか「時刻と通貨の形式」 とか書いてある部分は、上述の太陽が描かれたブルーの背景画像の上 に、直接、白の文字で描かれています。 つまり、画面の各部で背景色や文字色が違っているので、BIOS画面の ように、単純に色を反転させればいいというわけにはいかないようで す。おそらくこの画面は、将来、OCRの性能が飛躍的に向上するまで は、反転させない画像と、反転させた画像の2つをOCRにかけ、双方の よい部分を重ねあわして理解する、という操作が必要になるのじゃない かと思います。 Wさんの言っていた色を反転させた画像を、もう ひとつ別に用意し、それをMyRead5にかければ、ラベル部分は読めなくな るでしょうが、コンボボックスの部分を読めるようになるかもしれませ ん。 そういう方針で、以下、実際にやってみます。 まず「読取革命」。 最初にラベル部分を読み取ることに焦点をあてます。ラベルは青背景 に白文字ですから、メニュー「画像」→「色の反転」を実行します。こ れで、オレンジ色の背景に黒の文字になります。 上述のように、この画面の背景画像には太陽があります。(反転させ ているので太陽は黒で、文字と同じ色になっています。) これをなんとかしたいのですが…、メニュー「オプション」→「環境 設定」で、「自動画像補正」ページを開き、そこに、「画像補正設定」 というボタンがあるので、これを実行。次の設定をしてみました。 画像編集のタブで「画像ノイズ除去を行う」をチェック。そしてラジ オボタンは「大きいノイズ」を選択しました(効かないかもしれません が、とにかく、です。)。また、「カラーフィルター処理を行う」をチ ェックしておきます。適当に、コンストラストなどを調整してくれるこ とを願っての設定です。 「回転」と「傾き補正」は不要でしょうから、どちらもデフォルトの ままノーチェックです。 こうして自動画像補正オプションをオンにして認識させたのが、この メールの後ろに載せる「読み取り革命によるラベル部分」です。アルフ ァベットはかなり怪しいですが、日本語の部分は、ほぼ正確に読み取っ ています。しかしコンボボックスの部分を、まったく読み取れていませ ん。無視して(たぶん文字の存在を認識せず)、空白になっています。 そこで、第2段階として、このコンボボックスの部分に焦点をあて、 そこを読み取るように努力してみます。 コンボボックスは白地に黒文字が基本ですから、反転なしでやればい いだろうと思ったのですが、うまく読み取れません。そこに文字がある ことを認識しません。やはりコンボボックスの枠線が邪魔するのかもし れません。 確かOCRソフトによってはEXCELや表を読むためのモードがあるものが有って、 それを利用すればこの枠線をはずして認識してくれるかもしれません。 うーん。 メニュー「画像」→「減色」→「グレースケール」で、色をなくして しまうと、コンボボックスの部分の文字を少しだけ認識するようになり ました。芳しくないですが、現時点ではこれが最善です。結果をうしろ に載せます。 4つあるコンボボックスのうち2つしか拾っていません。最初のコン ボボックスは、ハイライト表示になっていて青地に白文字なので、読み 取れなくても仕方がないのですが、2番目の、時刻と通貨の、「日本語 (日本)」という文字を読み取れていません。ここを読み取らなければ おかしいです。 これはたぶん画像の解像度が関係します。VGA2USBで、キャプチャー 保存するとき、もしできるのならば、もう少し解像度を上げてキャプチ ャー保存できれば、成績は向上するかもしれません。でも、画面画像だ から、解像度は上がらないかも。

BIOSやPCブート時のメッセージについては使えそうですが、OSのイン ストールでは微妙ですね。コンボボックスとか、エディットボックスの 内側の文字列を、どの程度読み取れるかです。OCRの問題になりそうで す。 VGA2USBそのものは、いい装置のように思えますが、値段を考えると …悩ましいところですね。

----------------読取革命によるラベル部分はじまり-----------
^Wndowsa)インストール
インストールする言語(D:
時刻と通貨の形式(D:
キーボードまたは入力方式(口:
キーボードの種類(y):
こyl
−に12!」
言語とその他(1)項目を入力してからD欠へ]をク力りしてく
ださい。
CcpvTicht 0 20C・ Mcrosoft Ccrpcraticn. >りI rights reserved.
If- I 7
For testeig pifposes oNy.ピルド7000
次へ(励
----------------読取革命によるラベル部分おわり-----------

-------------読取革命によるコンボボックス部分はじまり-----------
rハ
MicrosofI IME
o
日本語キーボード(106/109キー)
_ I I x|
Ξ話とその彪の項≡を八丿Jて河で又へ.lクリックしてりときい。
CCPVTIEht@2∝−Cαα9tp刈II nehts resen/ed
レ大へ(励|
-------------読取革命によるコンボボックス部分おわり-----------

読みとり革命でフォーカス部分を読むには

上ではMyRead5でフォーカス部分を読む方法を書いた。しかしこれは、偶然の結果である。つまり早い話、 MyRead5の認識力が悪いと言って良いかは分からないが、コントラストがちょっと低くなると認識しないと言う結果である。 それに対して、読みとり革命は、コントラストが多少低くなっても何事もなかったように全て認識してしまうのだ。 もちろんこれはOCRの本来の仕事として当然でありそうでなければ困る。 フォーカス部分(全体と色が違う部分)だけを取り出して読みたいと言う私たちのニーズは、ちょっとイレギラーなことなのかもしれない。

ところが、画像編集ソフトを利用すると、読みとり革命でも十分にフォーカスが当たっているところだけを読むことは可能だ。 ようするに、フォーカスが当たっている部分だけを残し、後の部分を背景と同じ色にしてしまって消してしまうと言う方法だ。 またれいによって、ここからKさんの説明文を引用させていただく。ちょっと長いがじっくり読んで頂きたい。 これぐらいだったら視覚障害者にも十分画像編集ソフトを利用してできる作業だと思う。

説明がややこしくなるので省略していましたが、こうした場合、閾値*[6]を定めて、2値化すると、目的の場所だけを抽出できる場合が多い です。ツールを使えば、たいていワンコマンドかツーコマンドでできま す。 このメールで具体的な方法を書くつもりですが、やろうとしているこ との意味を理解していただかないと応用が効かないので、まず意味から 説明します。

以前のメールで、AWARD BIOSは青背景に白文字だと書きましたが、 厳密にいうとこれは違います。白文字を使っているのは、

「Phoenix - AuardBIOS CMOS Setup Utility」というページタイトルの 部分、

「Esc : quit T 1 ■* *■ : Select Item F10 : Saue 8 Exit Setup:という操作説明の部分

そして現在フォーカスがあたっている赤背景の部分(「Standard CMOS Features」

の3つです。 他のメニュー項目は黄色の文字が使われています。 そこで白文字だけを残して、黄色の文字を消せば、タイトル部分など の文字は残るものの、メニュー項目としては、現にフォーカスがあたっ ている項目だけが残るでしょう。 色を指定したり、独自フィルターを設定したりしても、こうした操作 は可能でしょうが、色に関してカスタマイズしなければならない要素が 多くなると、視覚障害者には操作できなくなります。

そこで閾値を使った2値化処理を行います。 つまりある値(閾値)以上(もしくは以下)の色部分を黒で残し、そ れ以外の部分を消す(白にする)という処理を行います。この、境界に する値を、この場合なら、黄色と白のあいだに設定すればいいわけで す。

で、IrfanViewで…。 ああ、すみません。IrfanViewにはこの処理コマンドがないようで す。プラグインを入れれば…、うーん。適当なプラグインが見つかりま せん。(丁寧に探せばあるだろうと想像するのですが) わたしは、こうした画像加工には、たいていGIMPというツールを使い ます。GIMPだとコマンド一発なのですが、GIMPはマルチプラットフォー ムなので、スクリーンリーダー環境で使うのが困難です。エクストラを 入れてもメニューを読みません。

なにかありませんかね。 ええーと、うん、これでやりましょうか。 JTrim  でも、すみません。エクストラを入れないと、メニューを読みませ ん。Catwalkのメニューから「動作設定」→「組み込み」ページで、 「追加」ボタンからJTrim.exeを指定し、EXTRAにチェックして「追加」 してください。  エクストラを入れなくても使えるツールがあるかもしれませんが、今 ちょっと見つけられないので。

さて、JTrimを起動し、反転させていないBIOSの画像を開いてくださ い。(反転画像でのやり方はあとで書きます。)  メニュー「カラー」→「2階調化」コマンドを実行してください。「2 階調化」というダイアログボックスが開きます。タブ移動すると、デフ ォルト値が128になっているエディットボックスと、デフォルト値が50 (真ん中)になっているスライダーがあります。ここが閾値 を指定 するところです。エディットボックスへ数値を直接入力するのが簡単で しょう。  とりうる値は、0から255までです。255に近ければ近いほど、より白 に近い色に境界をおくことになります。0に近ければ近いほど、より黒 に近い値で2値化することになります。

いまやりたいのは、黄色を消して、白を残したいわけです。このあた りはほとんど経験ですが、224ぐらいが適当でしょう。255が白だからと いって、たとえば250あたりを設定すると、白文字の部分も、かすれた 状態になり、OCRがうまくいきません。 値を設定したら、OKボタンで実行します。 すると、画面には、背景がすべて黒、タイトルと操作説明、そしてフ ォーカスがある「Standard CMOS Features」という文字列だけが、白文 字となって残っています。たいへん簡潔な画像になっています。 ファイルに保存し「読み取り革命」に読み込み、「色の反転」を実行 して認識させると…。ページタイトル部分の認識率が少し落ちますね。 あ、日本語認識モードでやっていました。 大丈夫。英語認識モードでやると、きれいに認識しました。「 Standard CMOS Features」という項目だけを拾えています。(ページタ イトルなどはありますが)

こんどは反転画像をやってみます。(Jtrimの「カラー」→「ネガポ ジ反転」をしてもいいです。) 反転を実行した画像は、白文字が黒文字に、黄色文字の部分が青文字 に変化しています。だから、「2階調化」ダイアログボックスで、32ぐ らいを指定してやるのが適当でしょう。  2階調化すると、背景は白色、文字は黒になります。タイトル部分と 操作説明の部分と、フォーカスがある「Standard CMOS Features」だけが黒文字になって残っています。 読み取り革命でそのまま認識させられます。  結果はたいへん良好です。

この方法は、他の場面でも使えます。

たとえば、Windows7のインストール画面で、コンボボックスの部分 だけを抽出したければ、コンボボックスと「次へ」ボタンだけが黒文字な ので、閾値 を32にして… ああ、32だと文字がかすれてしまいます。64ぐらいが適当みたいで す。 64だとちょうどいいです。きれいに、コンボボックスの文字だけを残 してくれました。実は前にGIMPで試していたのですが、GIMPだとコンボ ボックスの枠線も残してしまって、それが邪魔をして認識率をあげてく れなかったのです。それで効果がないと思っていました。 JTrimで64を閾値にすると、枠線を消してくれるのでちょうどいいで す。 読み取り革命でOCR認識させると、下記のようなきわめて良好な結果 を得られました。これなら実用レベルでしょう。(ラベル部分の認識 と、頭の中で重ねあわさなければなりませんが)

--------------------コンボボックスの認識はじまり--------
日本語(日本)
Microsoft IME
日本語キーボード(106/109キー)
次へ(励
×
-----------------コンボボックスの認識。おわり--------

調子にのってWindows7のラベル部分もやってみます。 ラベル部分は白文字なので、反転させたものを、閾値64で2値化し、 OCRをやると、下記のようになります(日本語認識モード)。 そこそこの結果です。コンボボックスの内容もひろっており、末尾に 出てきます。これは、OCRが、ラベル部分とコンボボックスの部分を、 左右にわかれた2段組ページと認識しているためでしょう。2段組ペー ジをテキスト化すると、1段目のうしろに2段目が続く状態で表示され ます。(BIOS画面も、実は2段組になっています。) あ、でも、順序が逆ですね。下にあるコンボボックスの内容から、上 にあるコンボボックスへと表示しています。うーん。どうしてでしょ う。ああ、読み取り順序が関係するようです。マウスで順序を変えるこ とはできますが…。  そして残念ながら、現にフォーカスがある「インストールする言語」 のコンボボックスの内容(「日本語」)を、OCR認識できていません。 ここは2値化によって、白背景に黒文字で、きれいに画像化されている のですが、やはりコンボボックスの枠線が邪魔をしているようです。

----------------反転画像を2値化したもの。はじまり--------
^ Windowsのインストール
インストールする言語(D:  Ξ。
   時刻と通貨の形式@:


キーボードまたは入力方式(口:


    キーボードの種類(ヱ):
     言語とその他の項目を入力してから[次へ]をタリ功してくださ
い。



Ccpvrieht 0 ^OOS Mcfosび"t CoTJO^^icri.刈I rights resen/ed.
        Windows 7
For testixi m only. ピJレド7000

次へ(励
日本語キーボード(106/109キー)       こ」
Microsoft IME              J
日本語(日本)             こ」
--------------------反転画像を2値化したもの。おわり--------

上の例からもわかるように、閾値 は、そのときどきて適切な値を 見つけなければなりません。JTrimの場合、閾値はひとつなので、 充分に試行錯誤できる範囲ではないかと思います。一度、適切な値をみ つけてしまえば、いいわけです。  単にフォーカス部分を得るだけでなく、Windows各画面をOCR認識する には、閾値を使って画像を2値化するのが、どうも有効なようで す。  以上です。

読みとり革命での段組読みとりの注意点

下はPCがOS起動直前に表示している1画面である。

Diskette Drive A : 1.44H, 3.5 in. Display Type : EGA/VGA
Diskette Drive B : None Serial Port(s) : 3F8

もちろん実際の表示はまだ続く。これを上で説明した方法で普通に読みとり革命で認識させると下のように、バラバラに認識されてしまう。

Diskette Drive A :
Diskette Drive B :
1.44H, 3.5 in.
None

のように、本来右側に来て無ければならないものが、下の行に改行されて認識されてしまうのだ。 これでは意味が分からない。これは、読みとり革命が、左右の段組表示として認識されてしまうからである。これを回避するには次のようにする。

(1)「編集」→「領域設定モード」を実行する。

(2)CTRL+Aまたは、メニュー「編集」→「すべて選択」を実行。これで、画像全体が選択状態になっている。

(3)メニュー「領域」→「設定」を実行する。このとき「設定」コマ ンドが不能状態の場合は、(2)の選択がなんらかの事情でうまくい っていない。 設定コマンドを実行すると、画像全体がひとつの領域に なる。つまり段組みを行わないで認識してくれる。

これで良好なレイアウトでテキストかされる。もちろんこの場合は英語モードで認識させること。

まとめ

読んで頂いてお分かりのようにBIOSに関しては十分に実用レベルだと思う。 VGA2USBを1週刊お借りして実験しただけなので、2台のPCでしか試せてないが他のPCでもそれなりにBIOSのキャプチャーは可能なはずだ。 OSのインストール、ここではWindows7ベータしか試せてないが、GUI画面になると、使えるか使えないかぎりぎりの 線だと思う。 上で示したとおり同じ画面を何種類かOCRして、それぞれの有効な情報を重ね合わせて利用すればそれなりに有効である。 また、予めどんな画面がインストール中に出てくるのかを知っているのであればかなり役にたつはずだ。 アナログRGBポートが付属するノートPC(つまり外部の画面を繋ぐことが可能なノートPC)でも、 VGA2USBは利用できた。 実際にEeePCで試したが、なんとかブート順序の変更を加えて、CDドライブからブートできるようにできた。 その他有効と思われる事としては、通常の方法でPCを使っていて、どうしてもスクリーンリーダでは状況が分からない場合、画面をキャプチャーしてメールでその画像を送って 他の人に見てもらうと言うことはかなり有効だと思う。 もう1台PCが必要ではあるけれど、たとえ問題のPCがハングアップしていてもハード的に情報を取得できるので、画像を取ることは十分にできる。 まあ自分でBIOSをいじりたいとか、OSを自力で入れたいという人間ならば複数PCを持っているだろう。 問題の画面のPCから直接画像を取るよりは良いはずだ。 ハングアップしていたらそれ自身のPCからは全て操作は不可能である。

今後の予定だが、MACのノートでこれを使ってみたい。MACのノートにXPをインストールして十分にXPがスクリーンリーダ上で利用ができるというレポートはなんどか見た。 だが、MACのノートに全盲が自力でXPを入れられるかはまだ分からない。たぶん無人インストールはできるのだとは思うが、 どうしても画面を見ないと分からないところが出てくるのではと思う。そのときに、VGA2USBが利用できるか。 その他に、UNIX上の GUI画面をどこまでキャプチャーできるかと言うことも興味がある。 だが、そのまえにVGA2USBを買わないと・・・。 今回VGA2USBを貸して下さった 株式会社アルゴ様 ありがとうございました。

[1]:BIOSの設定では、以前ではPC-Weasel 2000と言う者が 発売されていて、シリアルコンソール経由でBIOSの 設定が可能ではあったが、これも製産が終了して久しい。 この件については PC Weasel 2000の紹介 を見ていただきたい。

[2]:XPの起動後直後の画像をキャプチャーしてみたが、 このOCR結果はさんざんな結果であった。 バーチャルPCは難しいかも。 実はVGA2USBは1週刊という約束で貸して頂いた者で、 BIOS設定と、Windows7のインストール、 PCの電源導入直後の画面等のことしか試せなかった。 VGA2USBをオークション等で手に入れようと思ってはいるのだがなかなか出品されてない。

[3]:読みとり革命のインストールは問題なくできるのだが、 最初の起動の時に 「読みとり革命にようこそ」みたいな画面が出る。 通常は「標準モード」あるいは「簡単モード」で利用する。 この「ようこそ」画面が出ないようにするには マウスを利用しなければどうもうまく行かない。 だが、CATWALKを利用すれば視覚障害者でもどうにかなる。以下は 今回一緒にお手伝い頂いたTさんのアドバイスである。

catwalkなら、残り日にちのメッセージでOKを押してから、ctrl+WIN+F8のマウス移動モードにして、 左矢印を2回ほど押してから、ctrl+WIN+F9の左クリックでできますが。

これでようこそ画面が消えて読みとり革命が起動する。次回からこのようこそ画面を 出ないようにするには メニューの「オプション」→「環境設定」で 起動時に読み取り革命へようこそを表示する のチェックをはずせば良い。

[4]:ちょっと驚いたことに、視覚障害者用として発売されているOCRにはどれも英語モードが存在してないようだ。 これらでBIOSをOCRすると、 日本語モードになっているので、英単語の間のスペースが全て無くなってしまい、 かなり読むのに苦労する。認識もあまり良くない。 お試し版でしか今回実験してないが、中には全く認識できなかったソフトも有った。 MyReader5が比較的使えそうではあったがやはり英語モードが無いのは苦しい。

[5]:Wさんのも、TさんのもAWARDのBIOSでした。AWARD系は青背景に 白系統の文字で画面を作りますが、もうひとつよく使われるAMI BIOSで は、たいてい灰色系統の背景に青または黒の文字になります。画面構成 も大きく異なります。IntelのBIOSも、灰色背景で青文字のものが多い と思います。 すなわち、こうしたAMIやIntelでOCRをかけるときは、反転の必要は たぶんないでしょう。ただし、現にフォーカスがある項目を白文字で表 した記憶です。この記憶が正しければ、フォーカス項目を読むときは、 色の反転が必要になります。

[6]:閾値(いきち)とは私の記憶違いでなければ医学用語だったと思う。 確か生理学かなにかで、神経細胞等に、弱い刺激をだんだん大きく与えていって、神経細胞が「反応」する最小の刺激の値を 「閾値」とならったような覚えがある。 ようするに、今の場合は、色の範囲を大きく二つの色グループである「白色」と、「黒色」の2グループに分ける。 そのグループの境界店を、閾値と言っているのだ。 つまり黒いいろからだんだん色を明るくしていって、白いろに近づけて行く。それで「ここから白色の領域だよ」と、値を定めるようなものだ。

連絡先

連絡先:c8h6o4@watakatsu.com
このサイトのトップページへ